どちらも「運送業」と付きますが、運送業と貨物利用運送業の事業形態は、似て非なるものです。
◆「貨物利用運送」とは…
自社でトラックを持たない運送業です。正式名称は「貨物利用運送業」です。
具体的には、「自らはトラックを持たず、荷主からの依頼を受け、運送業を取得し、貨物トラックを持つ実運送事業者に貨物の輸送を依頼する事業」のことを言います。
トラック等を持たず運送案件の取次を行い、運賃をもらう事業のことで、物流業界では「水屋」と呼ばれており、極端に言えば、携帯電話ひとつで事業開始することも不可能ではありません。
◆「運送業」とは…
運送業許可を取得して「自らトラックを持ち、荷主の依頼を受け、運賃をもらって事業用トラックで貨物の輸送を行う事業」のことです。一般的に「一般貨物自動車運送事業(いわゆる運送業)」と言います。
◆「根拠法」も異なります
法律的には、運送業は「貨物自動車運送事業法」が根拠法であり、貨物利用運送業は「貨物利用運送事業法」が根拠法となります。そのため、トラック運送業と貨物利用運送業は、遵守事項や許可要件、罰則等がそれぞれ異なることになります。
◆貨物利用運送業には2種類あります
■「第一種貨物利用運送事業」…トラックを運送手段とするもの
■「第二種貨物利用運送事業」…主に船・鉄道・飛行機等を運送手段に含むもの
この2種類の貨物利用運送について、「貨物利用運送事業法第2条」で下記のように定められています。
◆貨物利用運送業の要件
■事業遂行に必要な施設
①使用権原のある営業所、店舗を有していること。
②①の営業所等が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと。
③保管施設を必要とする場合は、使用権原のある保管施設を有していること。
④③の保管施設が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと。
⑤③の保管施設の規模、構造及び設備が適切なものであること。
■財産基礎
純資産3百万円以上を有していること。
■経営主体
欠格事由に該当しないこと。