行政処分について

Administrative penalties

はじめに


 運輸局の監査が入り、法令違反が発覚すると事の重大さに応じて行政処分が科せられます。

公表されている主な基準は、下記の通りです。

 事業停止となれば、売上が大きければ大きいほど会社に深刻なダメージを与えることになります。色々な事業者様とお話をさせて頂くと、現実問題として法令自体が今の時代の実態に即していない。現実的ではない。といった意見も多く、事業者様のお気持ちも痛いほどよく解るのですが、だからといって何もしなければ、痛い目を見るのは事業者様自身となってしまいますので、完璧には出来なくても最善の努力をする。という事が必要となってきます。

自動車運送事業の監査方針・行政処分基準について


 以下の重要な法令違反が確認された場合は、30日間の事業停止となります

・営業所に運行管理者が全く不在(選任なし)の場合

・整備管理者が全く不在(選任なし)の場合
・恒常的に全運転者に対して点呼未実施の場合
・監査拒否や虚偽の陳述を行った場合
・名義貸しや事業の貸渡しが認められた場合
・運転者の運転時間の基準が著しく遵守されていない場合
・配置する営業所の全ての事業用自動車が定期点検整備未実施の場合など

 

違反なお、これらに該当しない程度の違反(乗務時間報告・点呼・定期点検整備等)については、違反の程度に応じた処分等(警告~60日車)が行われます。


記録の改ざん・不実記載や交替運転者の配置基準等の悪質な法令違反については、処分量定が引き上げられます。
・乗務記録の不実記載初違反10日車→30日車
・運行記録計の記録の改ざん初違反10日車→30日車
・交替運転者の配置義務違反初違反警告→10日車
・日雇い運転者の選任禁止違反初違反警告→10日車

etc…


軽微な違反について、行政指導(警告)に留められます
・乗務記録の記載不備初違反10日車→警告
・乗務員台帳の記載不備初違反10日車→警告

etc…

 

道路運送法第33条第1項違反及び同法第2項違反(名義貸し・事業の貸渡し)について、「臨時・偶発的なものと認められるもの」と「反復・計画的なものと認められるもの」の区別を削除し、当該違反が認められた場合には、一律に同じ処分を課すこととされます。

 

事業の取り消しについて


以下の違反行為を行った事業者は事業許可の取り消し処分が実施されます。 

  • 無許可経営(初違反:事業停止30日間)
  • 運行管理者が全く不在(選任なし)(初違反:事業停止30日間)
  • 乗務時間等の基準が著しく遵守されていない(初違反:事業停止30日間)
  • 点呼を全く実施していない(初違反:事業停止30日間)
  • 定期点検整備を全く実施していない(初違反:事業停止30日間)
  • 整備管理者が全く不在(選任なし)(初違反:事業停止30日間)
  • 名義貸し、事業の貸し渡し等の違反(初違反:事業停止30日間)
  • 輸送する旅客の範囲を限定する旨の条件または運送の引受を営業所において行う輸送に限定する旨の条件違反(初違反:事業停止30日間)
  • 検査拒否等の違反(初違反:事業停止30日間)
  • 事業計画に従うべき命令違反
  • 運賃料金変更命令違反
  • 輸送の安全確保命令違反
  • 公衆の利便阻害行為等の停止命令違反
  • 事業改善命令違反

<再違反には事業許可の取り消し処分が実施されます>

行政処分の違反行為・車両停止日数について


行政処分は違反内容によって様々な処分が定められています。

ここでは、特に事業者様が受けやすい行政処分について、一部ご紹介しております。

事   項   初違反   再違反
事業計画変更認可違反    

営業所の位置(運輸局長が指定する区域外に限る)の違反

   
 ①営業所を区域外に設置 20日車 40日車
 ②その他 10日車 20日車
     

各営業所に配置する事業用自動車の種別違反

警告 10日車
     
自動車車庫の位置及び収容能力違反    
 ①営業所との距離 20日車 40日車
 ②収容能力不足 20日車 40日車
 ③その他 10日車 20日車
     
乗務員の休憩・睡眠施設の位置及び収容能力違反    
 ①営業所・車庫との距離 10日車 20日車
 ②収容能力不足 10日車 20日車
 ③その他 警告 10日車
     
点呼の実施違反(注1)(点呼が必要な回数100回に対して)    
1.未実施    
 ①未実施19件以下 警告 10日車
 ②未実施20件以上49件以下 10日車 20日車
 ③未実施50件以上(注2) 20日車 40日車
2.不適切    
 ①一部実施不適切 警告 10日車
 ②全て実施不適切 10日車 20日車

(注1)

・補助者の要件を満たしていない者が実施した場合は、点呼未実施とする。

・運行管理者、補助者の自己による点呼は、点呼未実施とする。

・点呼を対面によらず電話その他の方法で実施(運行上やむを得ない場合を除く)をした場合は、点呼未実施とする。

・「実施不適切」とは、実施事項に不備がある場合をいう。

・未実施と実施不適切とが混在する場合、基準日車等の大きい方により算定する。

   

 (注2)

・処分基準公示5(1)②に該当するものを除く

   
     
点呼の記録違反    
1.記録    
 ①一部記録なし 警告 10日車
 ②全て記録なし 30日車 60日車
2. 記載事項等の不備 警告 10日車
3.記録の改ざん・不実記載 30日車 60日車
4.記録の保存    
 ①一部保存なし 警告 10日車
 ②全て保存なし 10日車 20日車
     
乗務等の記録違反    
1.記録(30乗務に対して)    
 ①記録なし5件以下 警告 10日車
 ②記録なし6件以上(全て記録なしを除く) 10日車 20日車
 ③全て記録なし 30日車 60日車
2.記載事項等の不備 警告 10日車
3.記録の改ざん・不実記載 30日車 60日車
4.記録の保存    
 ①一部保存なし 警告 10日車
 ②全て保存なし 10日車 20日車
     
運転者に対する指導及び監督に係る記録の作成・保存    
1.記録    
 ①一部記録なし 警告 10日車
 ②全て記録なし 10日車 20日車
2.記載事項等の不備 警告 10日車
3.記録の改ざん・不実記録 30日車 60日車
4.記録の保存義務違反 警告 10日車
     
定期点検整備等の未実施    
1.定期点検整備等の未実施(1台の車両の1年間の未実施回数)(注1・3)    
 ①未実施1回 警告 5日車×違反車両数
 ②未実施2回 5日車×違反車両数 10日車×違反車両数
 ③未実施3回以上 10日車×違反車両数 20日車×違反車両数
2.12月点検整備の未実施(注2・3) 10日車×違反車両数 20日車×違反車両数
3.全ての車両について定期点検整備が全て未実施  処分基準公示5(1)③及び6(1)④による 

(注1)

12月点検整備を除く。ただし、自動車検査証の有効期間が初回2年の自動車にあっては、初回の12月点検整備を含める。

(注2)

自動車検査証の有効期間が初回2年の自動車にあっては、初回の12月点検整備を除く。
(注3)

3に該当する場合を除く。

   
     
運行管理規程の制定違反    
 ①不適切 警告 10日車
 ②未制定 20日車 40日車

 

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